紀元前、新羅から渡来した王子・天日槍(アメノヒボコ)。彼が近江にもたらしたのは、鏡、鉄、そして陶器という最先端技術だった。
古代のシリコンバレー
近江の地は、かつて日本の最先端技術が集積する「古代のシリコンバレー」でした。その中心にいたのが、新羅(朝鮮半島)からの渡来王子、天日槍(アメノヒボコ)です。 日本書紀にも記述がある彼は、泥の海であった湖東平野を開拓し、そこに高度な文明を築いたとされています。
鏡、鉄、そして須恵器
彼が伝えたとされるもの。それは権威の象徴である「鏡」、武力の象徴である「鉄」、そして生活革命をもたらした硬質の陶器「須恵器(すえき)」でした。 特に須恵器は、この地にある「鏡山古窯跡群」で大量に生産され、ここから近畿一円の古墳へ供給されていました。 当時の最先端プロダクトは、この近江の地で作られていたのです。
「近江の歴史を見ることは、日本の技術立国の原点を見ることと同義です。外来の技術を受け入れ、独自のものへと昇華させる日本人のDNAは、ここで育まれました」
忘れられた「王」の記憶
しかし、大和朝廷の勢力が拡大するにつれ、土着の王や渡来の王たちの記憶は薄れ、あるいは神話の中に封じ込められていきました。 「それはまことですか?」は、神社や地名に残された微かな痕跡(残照)をつなぎ合わせ、かつてこの地を治めた王たちの栄華と、技術への情熱を現代に蘇らせます。
